鐘楼堂の小屋組とスギ材
2023-09-15
上棟式が終わり、引き続き屋根の骨組みとなる小屋組を施工しています。
今回の鐘楼堂では柱や頭貫などに吉野ヒノキ、その他は主に吉野スギを用いています。
スギは一般的に木肌が柔らかく、社寺建築の構造材として用いる機会は比較的少ない樹種ですが、吉野をはじめとした奈良県産のスギは年輪が細かく緻密なことから、強度が高く粘り強いと言われています。
材料の「変形しにくさ」を表すヤング係数で比較すると、スギの全国平均値がE70なのに対して、吉野スギではその1.3倍のE90を示すデータが奈良県森林技術センターによって報告されています。
スギは心材(木材中心部の濃色部分、赤身)と辺材(心材周囲の淡色部分、白太)が明瞭で、両者が混在した材は源氏と平氏になぞらえて源平材と呼ばれます。施工中の写真を見ると、源平材によってスギ材の範囲が一目瞭然ですが、外部に面した部分は紫外線の影響や経年変化によって次第に落ち着いた色になじんでいきます。