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社長のうんちく

#200 大和路の古寺あるき-1

2025-01-27
 新年あけましておめでとうございます。
 今年2025年は昭和の年号でいうと昭和100年に当たる区切りの年で、戦後80年と合わせて戦前と戦後を比較した企画が多く見受けられます。世界情勢を見ると米国のトランプ再登板でも分かるように保守から少し右に寄った内向き政権への交代が各国で見られ、グローバリズム・資本主義を謳ってきた流れが次のステージを模索して彷徨しているように思えます。日本も例外でなくよくその情勢を見定めて対応していかないと引き返しのできない事態にもなりかねません。政府に任せきりでなく一国民としての見識と判断が試されます。
 そんな状況ではありますが正月の休みに古の人の心に触れたいとの思いもあって奈良大和路に足を運んできました。
 高校の修学旅行を手始めにもう何度となく訪れてきた奈良ですが、飛鳥、白鷗、天平の時代を通してみると、まだまだ訪れたことのない古寺があります。
 今回3日ほどの行程でしたが、訪ねたうちのいくつかを2回に分けて紹介したいと思います。
 最初に近鉄奈良駅からすぐの興福寺。6年ほど前に再建なった中金堂を実際に見るのは初めてですが、やはり大きい。和銅3年創建といわれる藤原氏の氏寺としての権力の大きさを感じずにはいられません。身舎を支える柱は径が天平尺2尺6寸(76cm)と太く内地材ではもはや調達が叶わずアフリカチーク材を使用したとのことですが、表面がやり鉋を用いたなぐり仕上げで古代様式を踏襲しています。いま境内で目に付くのは何といっても五重塔の工事用素屋根です。地盤や耐震の調査を終えて明治期以来の改修工事に入っています。おもに屋根瓦の葺き替えを中心とした修理で令和13年までこれから6年を掛けて行われています。相輪まで入れると50mある塔ですからゆうに60mを超える巨大な素屋根になっていて、若草山から見ても一目でわかるランドマークになっています。余談ながら、工事看板に57億円を掛けての工事と謳ってありますが、かつて明治維新後の廃仏毀釈でこの五重塔は民間に25円(今の額で10万円程度)の値段で売りに出されたという歴史を持っています。買主は商人で最初は薪にしようとしましたが労力がかかるため金目の金具だけを剥ぎとろうと、いっそ燃やしてから拾おうと考えましたが近隣の住民から類焼が心配だと反対されたため、あきらめて幸いにも焼失を免れたというウソのような話しが残されています。今思えばなんと愚かな所業だったと思わざるを得ません。
 今回隣の国宝館が開館していて入場が叶い、展示の阿修羅像や千手観音菩薩立像が見られたのは僥倖でした。
 興福寺を後にして訪れたのが大和と大阪河内の県境にある二上山の東麓に建つ當麻寺(たいまでら)です。当初聖徳太子の弟・麻呂子皇子が推古朝の622年に河内に創建したのが始まりとされ、その後天武朝に現在地に移築されたとされる古刹です。本堂始め多く塔頭が国宝指定されており、なかでも創建当時のままの形で東西三重塔が残されている国内で唯一の寺院とされます。本堂はその後孫庇付や外陣増設など2回の増改築を経て現在の寄棟造り本瓦葺きになっていますが、屋根に照りのない中世和様の原型を見るようで悠然とした姿をしています。一般に本堂のご本尊は木彫刻の像が多いものですが、ここのご本尊は中将姫伝説で知られる当麻曼荼羅で掛かり4m四方に壮麗な極楽浄土を描いた織物に圧倒されます。まだ仏教が伝来してから間もない時期、今よりずっと生きることが辛く厳しかった時代にその極楽浄土の世界を視覚的にあまねく伝えることができたのでないかと想像されます。
 そのあと當麻寺から奈良盆地を横断するように東南にある談山神社を訪ねました。
 この付近一帯は多武峰(とうのみね)と呼ばれる地域で古くから修験の里として知られ藤原鎌足の廟が置かれたことで有名です。鎌足の子の僧・定慧(じょうえ)が唐留学後木造の十三重塔を造営したものが今談山神社に伝わります。現在のものは室町期の再建ですが、朱塗・檜皮葺の色調といい、十三重のつりあいの美しさといい、破調が欲しくなるほどの典雅さに映ります。春日大社を氏神とした藤原氏の華麗さ好みが伺い知れます。当初寺院だった多武峰は明治の廃仏毀釈を経て神社として生まれ変わり、僧は還俗させられ妻帯し苗字を称し神官として禄を繋ぎました。明治太政官政権の汚点と言われる悪名高き廃仏毀釈の嵐は神々を翻弄し、かように激しく価値観の大転換を強いたのでした。
 以降次回に続けますが、この「社長のうんちく」も今月で200回目を数え、たわいのない話を18年近く続けてきたことになります。お付き合いをいただいた方々には深甚なる感謝を申し上げます。私もこの3月で古希を迎える年になりますが、もう何回かいまの立位置で発信していきたいと思っていますのでもう少しだけお付き合いをいただけたらと思います。
今年がよい一年となりますよう。
赤石建設株式会社
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